よくあるお問い合わせ 剥離剤全般について


剥離剤全般について

ご質問
剥離剤とは?
ご回答
不要になった塗料を汚れに例えるならば、剥離剤は洗剤です。古くなった、または不要になった塗膜や樹脂を取るものです。

ご質問
剥離剤の歴史は?
ご回答
1950年頃(弊社発足直後)は、ベンゼン、アセトン、エタノールなどの有機溶剤の混合液や熱高濃度苛性ソーダ水溶液などが使われていました。
その後、皮膚刺激や呼吸器刺激など人体への影響を理由に、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタンなど不燃性の塩素系溶剤や、メチルエチルケトン、トルエン、メタノール、酢酸エチルなど引火性液体が使われるようになりました。
近年は環境への影響を理由に、高沸点溶剤を主流にしたものに替わってきています。

ご質問
塗膜を剥がす方法は?
ご回答
主に、化学的方法、物理的・機械的方法、熱的方法の3つの方法があります。

1. 化学的方法 水溶液系および溶剤系剥離剤を使用する方法。
2. 物理的・機械的方法 ヘラなど削り落とす方法、砂などを当てて研磨するブラスト法、液体空気で冷却して体積変化を生じさせる低温法、高圧水を当てる高圧法。
3. 熱的方法 剥離したいものを400〜500℃に加熱して塗膜を熱分解するオーブン法、化学的に分解するソルトバス法。物理的・機械的方法との併用と言える流動砂法。

ご質問
剥離剤による塗膜剥離のメカニズムは?
ご回答
剥離剤は塗膜や樹脂の表面から内部へ浸透します。
浸透した剥離剤の成分は、塗膜や樹脂の結合を弱め、さらに膨張、軟化を引き起こします。また素地との付着力(接着力)を弱め、塗膜や樹脂を剥離します。

ご質問
剥離剤の種類は?
ご回答
■環境への影響をもとに弊社製品を分類すると、以下のようになります。
●環境対応型ネオリバー
 ジクロロメタンを含まない製品。
 【ネオリバー#300,#400,#1200,#1400,#1500,S-500,S-900,泥パック,エコシリーズ】

●従来型ネオリバー
 ジクロロメタンを主成分とした製品。
 【ネオリバー#100,#200,S-600,S-700,S-800シリーズ】


■成分をもとに弊社製品を分類すると、以下のようになります。
●水溶液系剥離剤
 水酸化カリウムを含む強アルカリタイプ【ネオリバー #1200シリーズ】

●溶剤系剥離剤
・ジクロロメタンを主成分とした製品 不燃性でほとんどの塗膜を短時間で剥離できます。
 【ネオリバー#100,#200,S-600,S-700,S-800シリーズ】
・ジクロロメタンを含まない製品 引火性の製品や加温使用する製品もあります。(詳しくは『製品紹介』をご覧ください。)
  アルカリ、中性タイプ
   【ネオリバー #300,#400,#1400,#1500,泥パック,エコシリーズ】
  酸性タイプ
   【ネオリバー S-500,S-900シリーズ】

ご質問
木部の上の塗膜を剥がすことはできますか?
ご回答
いくつか条件がありますが、可能です。詳しくは以下をご覧ください。
アルカリ性や酸性の剥離剤は木焼けの原因になりますので、中性タイプの剥離剤(ネオリバー #111)をご使用ください。中性タイプで除去が難しい場合は、酸性タイプで比較的木焼けの程度が低い剥離剤(ネオリバー S-767)をご使用ください。
ただし、木部の中に顔料が浸透している場合は除去が困難ですので、ご注意ください。顔料が浸透する塗料等には、インク、ニス、オイルステインなどがあたります。

木部のクリアー塗装は1層ずつ剥離します。複数回塗装されている場合は、塗付→ケレンの反復作業が必要です。また、ケレン後は水洗を行ってください。

塗料をはじく場合がありますので、乾燥後にペーパーで木部の表面を研磨してから再塗装してください。

ご質問
使用できない材質はありますか?
ご回答
1.従来型(ジクロロメタン系)剥離剤 → プラスチック、ゴムの多くを侵します。
2.環境対応型剥離剤 → プラスチック、ゴムを侵すことがあります。
3.水溶液系剥離剤(強アルカリ) → アルミニウムなどの軽金属は、アルカリ成分と反応し侵されます。
4.アルカリ、中性タイプの剥離剤 → 銅、銅合金はアミン成分と反応し、侵されます。アルミニウムなど軽金属も侵されることがあります。
5.酸性タイプの剥離剤 → 鉄鋼が錆びることがあります。

ご質問
剥離の手順は?
ご回答
剥離剤を導入、使用する際は、まず予備試験(テスト施工)を実施してください。

■剥離剤使用前の準備は?
剥離作業の前に予備試験を実施し、薬剤(製品)の選定と、浸透時間や塗付回数などの条件設定を行います。
なお、剥離剤の効果は温度等の影響を受けます。特に屋外では風、気温などの影響が大きいため、予備試験と実際の作業(施工)で効果が異なることがあります。
以下をご参考に、なるべく悪条件下での作業は避けるほか、養生を工夫する、浸透時間や塗付回数を増やすなど条件をご調整ください。
・低温下では剥離剤が浸透せず、効果が落ちます。
・強風下や炎天下では、剥離剤の蒸発が進み、効果が落ちます。
・雨天や高湿時は、水の膜が剥離剤の浸透を阻害し、効果が落ちます。

■剥離作業の手順は?
基本的な手順は以下の通りです。
1.養生 (作業場所周辺の保護)
2.塗付または浸漬
 (剥離剤成分が浸透するのを待つ。製品、条件により時間は異なります)
3.ケレン (塗膜の掻き取り)
4.洗浄 (剥離剤その他の洗浄)

ご質問
剥離剤の使用量は?
ご回答
刷毛塗りタイプの場合、2回塗りを念頭に1kg/m2 必要です。
浸漬タイプの場合は剥離槽の大きさにより異なります。弊社剥離剤の内容量は重量表記のため、「剥離槽の容量×剥離剤の比重」が必要な剥離剤の量(重量)の目安になります。

ご質問
剥離剤の缶が膨らんでいますが?
ご回答
従来型剥離剤の場合、主成分であるジクロロメタンの沸点が約40℃と低く、外気温が上昇すると缶が膨らんできます。暖房した屋内に保管する、直射日光が当たる等でも缶が膨らむ場合がありますのでご注意ください。
蓋をあける際には噴出にご注意ください。

ご質問
剥離剤使用後、水洗いができない場合はどのようにすれば良いですか?
ご回答
剥離剤成分が残らないようにしてください。例えば、
・濡れ雑巾でぬめりが無くなるまで拭いた後にシンナー拭きをする
・乾燥させてから表面を削る
などの方法があります。

ご質問
剥離後の剥離剤、塗膜はどのように処理すれば良いですか?
ご回答
サポートページにて廃棄物処理について説明していますので、ご参照ください。
特にジクロロメタン系剥離剤は特別管理産業廃棄物になりますので、濡れた塗膜を完全に乾燥させてから、産業廃棄物業者に委託してください。

ご質問
剥離剤が身体にかかった際の対処、手当て方法は?
ご回答
大量の水で洗い流し、異常が見られ無くても医者の診察を受けてください。詳細については、製品ラベル、製品安全データシート(MSDS)を見てください。

ご質問
水洗い不要の剥離剤はありますか?
ご回答
ネオリバー#120があります。
建築外装用塗料(1液タイプ)にご使用ください。下地がモルタル、コンクリートなどの場合に使用可能です。
ネオリバー#120以外の剥離剤は水洗いが必要です。

ご質問
プール塗料の剥離には何が適していますか?
ご回答
通常、プールの塗装にはウレタン、エポキシ塗装が施されていますので、ネオリバーS-767(低臭気)や、ネオリバーS-701が適しています。環境対応型をご利用の場合は、ネオリバーS-546が対応します。
なお下地がFRPの場合、剥離剤は使用できません。(剥離剤がFRPも侵します)

ご質問
プラスチック上の塗膜を剥離したいのですが?
ご回答
多くのプラスチックに対し、剥離剤は使用できません。剥離剤は塗膜の樹脂に作用して剥離を促しますが、プラスチックも樹脂で構成されているため、塗膜と同時にプラスチックも侵します。
プラスチックの中では、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)はおおむね侵されません。

ご質問
厚い塗膜を一度に剥離したいので、それに適した強い剥離剤はありますか?
ご回答
厚膜向けの剥離剤はご用意しておりません。
厚い塗膜を剥離するには、剥離剤の強弱よりも、十分な量の剥離剤が塗膜の深部まで浸透することが重要です。 このため、浸漬タイプの場合は浸漬時間を長く取ることで、刷毛塗りタイプの場合は剥離剤の塗付量を増やすことで対応します。

刷毛塗りタイプの場合、製品により作業性が異なりますので、以下もご参照ください。

従来型(ジクロロメタン系)剥離剤は、浸透が早い一方で揮発しやすく、塗付量を増やしても塗膜に浸透する前に揮発するため、薄く塗付してケレンする作業を何度か繰り返して使用します。
環境対応型剥離剤は、浸透はゆっくりですが揮発しにくく、また塗付量を増やすのに適したペースト状の製品もあります。このため、塗膜への塗付量を増やし、浸透するのを待ってからケレンします。

従来型剥離剤 ネオリバー#120の場合、ローラーでの塗付量は300〜500g/m2で、除去できる塗膜の目安は300〜500μm程度です。厚さ1mmの塗膜を除去するには2〜3回の作業が必要ですが、塗膜への浸透は短時間で可能です。
環境対応型剥離剤 ネオリバー泥パックシリーズの場合、リシンガンで3kg/m2まで塗付可能で、十分に浸透するのを待てば、厚さ3mmの塗膜でも1回の作業で除去できます。(建築外装用塗膜の場合)

ご質問
刷毛塗りタイプと浸漬タイプの使い分けは?
ご回答
刷毛塗りタイプは、面積が広いもの、取り外しができないものの剥離や、対象物の一部分のみ剥離する場合に適しています。
浸漬タイプは、剥離するものを剥離剤の中に漬け込んで使用するため、小物や入り組んだ形状の部品などの剥離に適しています。
浸漬タイプの剥離剤を刷毛塗りで使用するのはおやめください。従来型(ジクロロメタン系)剥離剤は揮発しやすく、刷毛で薄く塗ると塗膜に作用する前に蒸発してしまいます。

ご質問
従来型と環境対応型の違いは何ですか?
ご回答
ジクロロメタンを配合しているか否かで分類しています。
ジクロロメタンは塩素系の溶剤で、環境中に蓄積しやすく、環境への影響が大きい物質のため、様々な法律で規制されています。
環境対応型はジクロロメタンを配合せず、環境中に蓄積しにくい成分で構成されています。
詳細はお問い合わせください。

ご質問
環境対応型の剥離剤を工場に導入し、塗装用治具を剥離したいのですが?
ご回答
剥離剤を加温して使用するため、以下の設備が必要になります。

・剥離槽
・水洗槽
・熱源(ボイラー、電気など)
・攪拌設備(槽内の温度を均一にする)
・排水処理設備(凝集沈殿槽、活性汚泥槽、油水分離設備など)…水洗水の排水に必要

弊社ホームページの「活用ページ」にも説明を記載しています。
詳細はお問い合わせください。

ご質問
水性タイプの剥離剤はありますか?
ご回答
水性タイプの剥離剤はご用意しておりません。
環境対応型には、エマルションタイプなど従来のジクロロメタンタイプと異なる剥離剤もございますので、お問い合わせください。

ご質問
☆☆☆☆(4☆)の剥離剤はありますか?
ご回答
剥離剤は使用後は廃棄し、残ることがありませんので、4☆の概念は当てはまりません。

ご質問
剥離剤の効果がない塗料はありますか?
ご回答
基本的に、無機のものには効果がありません。
耐熱塗料、耐候性塗料(シリコン、フッ素系)にも効果がない場合が多く、またUV硬化塗料に対しても効きにくいとお考えください。

ご質問
工場で、塗装治具や製品の剥離に環境対応型剥離剤を採用するメリットは何ですか?
ご回答
環境対応型、浸漬タイプの剥離剤を例に、メリットとデメリットをご説明します。
メリットは以下の通りです。
1.適切な製品を適切な環境で使用すれば、下地をほとんど傷めることなく剥離ができます。
2.剥離剤に漬けている間、他の作業ができます。剥離作業にのみ専念する必要はありません。
3.1〜2か月に1回剥離剤を分析し、成分を補正することで、安定した性能を維持できます。
4.環境中に蓄積しにくい成分で構成されているため、環境に対する負荷を軽減できます。
5.ISO14000取得の企業でもご利用できます。
6.剥離中に粉塵が出ません。

また、デメリットは以下の通りです。
1.加温設備付きの剥離槽を含め、初期設備投資が必要になります。
2.臭気がある。(従来型の場合でも臭気はありますが、加温により強く感じられます)
3.加温(概ね70〜90℃)するため、火傷の危険性があります。

ご質問
ケレン作業を行う前に剥離剤が乾燥してしまった場合はどうすれば良いですか?
ご回答
乾燥した剥離剤と同じ製品をもう一度塗付し、塗膜が再び軟化してからケレンしてください。
(乾燥した剥離剤と異なる製品を塗付するのは避けてください。)